学からして錯誤?

某学会誌からの査読結果に下記のコメントがあって、唖然としました。

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「水質浄化とはCODで表される湖水中の有機物を減らすことである」という記述は「水質浄化」という多義的な一般用語の定義を、本研究で得られたデータを根拠とした批判を展開しやすいように矮小化している。この定義に基づいて環境省(2007)の見解を批判しているが、水質浄化の捉え方の相違として反論されるのではないか。たとえば植生の存在による底質まきあげの抑制を以て「水質浄化機能」と説明しても、あながち間違いではないだろう。

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投稿したのは、霞ヶ浦アサザ植栽時に消波堤を作ったことで水質がどう変化する可能性があるか、底質(有機物・硫化物濃度、粒度分布など)を調べて議論した論文でした。
指定湖沼を抱えた多くの自治体が四半世紀以上も湖沼計画を作り続けて懸命にCOD削減をはかっているのに、上記コメントは「有機物削減努力に逆行する事業を行っても、何の問題もないですよ。水質はCODだけじゃないでしょう?」と言っているに等しい内容です。

印旛沼は水道水源です。有機物の増加はヒトの健康にも悪影響があるのに、原理的にはCOD有機物)を高くする、水草植栽が行われています。案の定、日本の水質ワーストワン湖沼になっています。

学や行政の縦割りを廃し、総合的に健全な生態系を維持することを目指したはずの学会の査読者がこのようなコメントをするようでは、印旛沼のような錯誤が続くのは仕方ないのかもしれないと思ったことでした。