山中伸弥氏が、「共同研究者のデータに関しては全くといっていいほど保存していなかった。肝心の指摘されているデータが自分のノートからは出てこない。」と謝罪されていました。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140428/waf14042819090023-n1.htm
「小さなグループで中国からの留学生や医学部の学生にも手伝ってもらった。今から思えば、すべてのノートは私が持っているべきだった。」とその原因を説明されています。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140428/waf14042819090023-n4.htm
私自身も5年前に同様の事態に陥りそうになりました。それまでは修士1年、2年合わせて5人だったので、フィールドには私か博士の学生が必ずついていきフィールドノートの記載がどちらかに残るようにする、分析データは生データの段階で私にも送ってもらう、という形を取っていました。しかし翌年の新M1が実質5人になると予測された段階で、これだけでは破綻すると思いました。
そこで実験ノートを細かく記録し、卒業時にはそれを研究室に置いていくことを陸水研の規則としました。翌年からは市販のラボノートを学生に配って様式を統一しました。その結果、2年間の研究で機器分析などのデータ以外は大体そのノートまるまる1冊、内容が多い学生は2冊、研究室に残されてゆくようになりました。
しかし学生の卒業後に投稿するに当たってこれだけで今後も十分かというと、フィールドワーカーとしての私の価値観からは、不安が残るところです。私自身も学生のフィールドにできるだけ同行して現場から受ける総合知もできるだけ共有すべきことを考えると、指導できる学生は1学年最大2名、博士まで合わせて合計で6名が、私程度の能力では限度だと思います。