手賀沼におけるヨシ植栽事業の弊害

午前は手賀沼環境保全協議会に出ていました。配布資料に「湖沼等の浄化対策」として植生帯の整備(手賀沼では大部分がヨシの植栽)とあったので、「ヨシを植えてもCODを減らすという意味での浄化にはなりません。」と指摘したところ、「生物多様性の増加という観点もある。」と説明されました。それで「刈り取りや火入れなどの管理を行わないと、魚も入ってこれないし、他の植物も進入できません。今後は植えるだけでなく、目的に沿った管理という観点も必要だと思います。」と指摘したところ、漁業関係者の方がフォローしてくださいました。

ヨシ植栽地の前面はヨシゴミで漁に支障が出ている。またヨシ帯にゴミもたまっている。農業用水路にもヨシが入り込んでいる。できる範囲で刈り取っているが、漁業者だけでは限度がある。かつては一面に焼き払い、ヨシ以外のゴミも焼いた後で一斉に清掃していた。焼くことで稲につく害虫が死ぬので、殺虫剤散布を1回減らすことができる。最近は焼こうと思っても遊歩道の内側は漁業者で管理できないし、また周辺住民から洗濯物が汚れるなどの苦情も出る。県の方で火入れができるように環境を整えてもらえないか。

焼かれずに残るヨシ帯で水田害虫が冬ごもりしている可能性は、全く考えたことがなかったので、目からうろこでした。確かに、そういうこともあり得そうです。ヨシを焼くことで、手賀沼周辺の水田で散布される殺虫剤の量が減れば、生態系の保全にとって大変有効に思われます。

ヨシ帯に関しては市民団体の方からも、ナガエツルノゲイトウなど侵略的外来生物がヨシ帯に入り込んでいて、現状では駆除が難しい。ナガエツルノゲイトウは根絶やしにしないとまたすぐに生えるので、冬季にヨシを焼くことは、在来種の保護の観点からもお願いしたいと発言されていました。

植えればよいという緑化工事的な「植生帯の整備」は、明らかに曲がり角に来ているようです。