天然記念物シラタマモ

徳島県手羽島には、世界で4カ所にしか分布していないとされるシラタマモという車軸藻が生えている池があります。日本に分布する車軸藻類は大部分淡水ですが、このシラタマモは汽水性です。長年汽水湖を研究してきた私にとっては、極めて興味深い池です。
現地に行ったところ、様々な汽水湖を見てきた私でさえ驚くような汽水湖でした。

写真の左側が池、右側は巨礫、巨礫の右側は写っていませんが海です。つまりこの池は海と巨礫で隔てられているのです。
礫州で閉じられて汽水湖になっている所として、鹿児島県甑島の湖沼群があります。しかしあそこの礫径は数10cmで、だからこそ海流で流されて州を形成できたのです。この池の場合、巨礫は海流で流されたというよりは、左側の崖から落ちたとしか見えません。にもかかわらず、左側に池が残っているのが本当に不思議です。どなたかこの池の成因をご存知の方がおられましたら、是非教えてください。

池の全景です。礫にはウミニナや牡蠣がついていますが、左側にはヨシが生えていて、少し塩分が低いようです。入って見ましたが、ずぶずぶの粘土でした、

現地ではいろいろ探しましたが、シラタマモを見つけることができませんでした。船着き場に戻ってシラタマモを展示していた施設でお話を聞いたところ、丁度よい塩分のときに緑藻の中に混じって生えてくるとのことでした。この水槽のようにシラタマモだけがわさわさ生えることはないそうです。