耐震対策の優先順位

今回の震災では対策本部が設けられる場であり、住民の安否を確認する上で重要な住民票がある場でもある市役所や役場が被害を受けた例が、4件ありました。
阪神淡路、東北と警告が続いたにも関わらず、なぜ耐震対策が不十分だったのでしょうか。
テレビ報道で「どうしても小中学校などが優先される」「役場を建て替えるというと『贅沢』と言われる」とコメントされていました。実際、私の知り合いの地学関係者も、この震災以前から同様の悩みを自治体関係者から聞いていたといいます。
もっと言うと、耐震対策は被害を防ぐためのもので、ダメージをマイナスとするとマイナスをゼロにする対策です。一方、新規の道路造成などは以前に無かった利便を創造するもので、ゼロからプラスです。なので地方の選挙では「予算を耐震対策に振り向けます」と訴えるより、「新たな道路を造ります」と訴える方がイメージ戦略として有利なのです。
つまり災害に強靱な地域を造れるかどうかは、有権者である私たちがどう考えるかにあります。
地学を少し学べば、私のような文系出身者でも、この国の安心安全で最も大切なことは何なのか、自ずと分かります。なのでこのブログでは3.11以前から、地学は高校まで国民全員が学ぶ教科だと訴えてきました。
今後もそのための活動を続けますが、とりあえず次の選挙では、日本に住んでいればどこでも起こることとして投票していただければと思います。またどの政党も、まじめに地学リスクを考えていただきたいです。
特に東京の、少しでも親の負担を軽くしたいと安アパートに住んでいる若い有権者のみなさんは、次に首都直下地震が起こったら東海大の犠牲になった学生さんと同じことがあなた方に起こるということを考えて、誰が自分たちの身を守る政策を打ち出すかで判断してもらえればと思います。