湖沼についても内水面漁業振興を!

農林水産省平成27年度の統計によると、日本の内水面漁業(養殖を含む)の魚種は、大きく「さけ・ます類」、「うなぎ」、「その他」にわかれ、それぞれ約2万t漁獲されています。「その他」のうち、あゆ(養殖を含む)が7500t、わかさぎ・こい・ふな・しじみ・エビ類が16000tでした。

平成26年10月15日、内水面漁業振興法第9条第1項の規定に基づき、農林水産省は基本方針を定めました。その解説(PDF:2,614KB)では、さけ・ます、うなぎ以外で具体的な対策が示されているのは「あゆ」だけでした。

「あゆ」は主に河川で漁獲されるのに対して、わかさぎ・こい・ふな・しじみ・エビ類は主に湖沼で漁獲されます。その為、あゆは全国で漁獲されますが、わかさぎ・こい・ふな・しじみ・エビ類は産地が限られていることから、「あゆ」より軽視されているのかなと思います。

しかし「しじみ(1万t)」だけでも「あゆ(7500t)」より漁獲量は高く、「あゆ」以外の内水面魚種に対する振興対策は、内水面漁業の振興を目指す上で必須でしょう。また湖沼(汽水・淡水双方)での内水面漁業での問題は、貧酸素化、泥質化、ヒシなどの水草の繁茂、アオコによる異臭など、河川とは全く異なります。しかし国の研究機関(国立研究開発法人 水産研究・教育機構)では湖沼の内水面漁業を担当する研究所はありません。このため問題の所在そのものが認識されていない可能性があります。

サンマやマグロなど海産魚については、周辺国の需要の増加から、日本が漁獲できる量が今後ますます厳しくなるかもしれません。食料自給の観点からも、内水面漁業の多くを占める湖沼での内水面漁業振興について、具体的な対策をお願いしたいと思います。