ヒシとナガエツルノゲイトウは徹底的に駆除すること!

Global Invasive Species Database(世界の外来種データベース)はヒシ(Trapa natans)が環境に与える影響について下記のように解説しています。
According to VDEC (2002), T. natans is a fierce competitor in shallow waters with soft, muddy bottoms. Uncontrolled, it creates nearly impenetrable mats across wide areas of water. In Vermont, USA, many previously fished bays of southern Lake Champlain are now inaccessible, and floating mats of T. natans can create a hazard for boaters. It is also a human nuisance because mature T. natans nuts drift to shore where their sharp spines may hurt bare feet (Haber, 1999). VDEC (2002) states that this noxious plant also severely limits the passage of light into the water, a critical element of a well-functioning aquatic ecosystem. It reduces oxygen levels, which may increase the potential for fish kills. T. natans outcompetes native vegetation and is of little value to wildfowl.
(山室による意訳)
VDEC (2002)によると、ヒシは底が軟泥である浅い水域において圧倒的な競争者である。他の植物が入り込めないマットを形成し、その広がりを抑制することはできない。アメリカのバーモントでは、シャンプラン湖の南部のヒシの侵入以前は釣りが行われていた湾が、現在は釣り客が近づくことができず、ボートも侵入できない。またヒシの種子が湖岸に漂着した場合、裸足で歩くとケガをする。VDEC (2002)は、この有害な植物は、健全な水界生態系にとって必須である光の水中への透過を著しく阻害すると述べている。またヒシは溶存酸素濃度を減らすことで魚の大量死をもたらす可能性がある。ヒシは在来種を駆逐し、水鳥にとってほとんど価値がない。

上記と同様の悪影響を与えると解説されているのがAlternanthera philoxeroides(ナガエツルノゲイトウ)です。湖沼を管理している方なら、これが入って来たら徹底的に駆除しなければならないことはよくご存知だと思います。ナガエツルノゲイトウが入ることでアオコが抑制されるとか、栄養塩を吸収するからと全駆除せずに一部を残すなんて話、聞いたことがありません。
ナガエツルノゲイトウは海外から来た外来種ですが、現在、ヒシが問題になっている湖沼の一部は、昔はヒシなど生えていなかったところもあります。いわば国内外来種です。そのようなケースでは、ヒシもナガエツルノゲイトウも同じ悪影響を及ぼすのですから、ナガエツルノゲイトウと同様、徹底的に駆除すべきなのです。ヒシも上記に書かれているように、抑制不能な繁殖力を持つのですから。