多自然型川づくりで日本の内水面漁業は衰退する

内水面漁業の振興に関する法律」が平成二十六年に施行されました。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H26/H26HO103.html
そこには下記のように、河川管理者が河川を内水面漁業が振興するように整備することが義務づけられています。

第十八条  国及び地方公共団体は、内水面水産資源の生育に資するため、魚道の整備及びその適切な維持管理、産卵場の造成その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第十九条  国及び地方公共団体は、内水面水産資源の生育環境の改善その他内水面に係る生態系の保全に資するよう、自然との共生及び環境との調和に配慮した河川の整備を推進するよう努めるものとする。

一級河川の管理者は国土交通省です。その国土交通省から先月、「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」という提言が発表されました。
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo04_hh_000052.html
全16ページのその提言を読んでビックリ!「産業」という単語が1カ所でてくるだけで、「水産」「内水面」「漁業」には一言も触れられていないのです。
内水面漁業の振興に関する法律」ができて3年になるのに、なぜこのような提言になってしまったのか。
実は国交省の川づくりの検討の場では、長良川河口堰問題以前も以後も、水産関係者は蚊帳の外なのです。だから長良川ではシジミやアユが壊滅状態になっているのに、河口堰問題以後も、そして内水面振興法ができてもまだこういった川づくりを提唱するのは、なぜなのか(その答えを私は分かっていると思っていますが、敢えて書きません)。
内水面漁業に関わる方々は是非この提言を読んで、対策を考えてください。河川行政がこのままだと、日本の内水面漁業は壊滅状態になると危惧しています。
提言全文へのリンクは下記です。
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tashizen/pdf/01honbun.pdf