水環境をどう守るのか〜霞ヶ浦を例に

昨日は「つくば科学・技術産業イニシアテイブ」という集まりで90分ほど講演させて頂きました(演題はブログタイトルとは異なります)。
ポイントは3つ。
・表流水に依存している日本で飲用水を塩素処理することのリスク。
・農薬が平野部の湖沼生態系に今なお深刻な影響を与えている。
・日本の生態学者(少なくとも大物達)はその深刻さを全く理解せず理科教育をゆがめている(例えば義務教育の理科の教科書に非科学的な記載がある)。
つくば関係者には馴染みがある霞ヶ浦でのアサザ植栽(元生態学会長が率先した)を例に説明し、その元生態学会長と同僚だった方もいましたが、皆様納得されていました。
農薬の影響については、「今は使用量もかつてより減っているから、影響は減っているのではないか。」との質問がありました。これに対して、二枚貝シジミから除草剤成分が検出されて販売できなくなった宍道湖で流域の除草剤使用量を減らした途端に沈水植物が繁茂するようになったのに対し、手賀沼霞ヶ浦では沈水植物が全く復活しておらず、そういった湖沼で除草剤が湖沼に与える影響は1950年代に除草剤使用が開始されて沈水植物が一斉に衰退したときとほとんど変わっていないと考えられるとお答えしました。
また殺虫剤については、1980年代に富栄養化した湖沼で迷惑害虫になっていたオオユスリカが、全く貧栄養化していない霞ヶ浦宍道湖でもほとんど見られなくなったのは殺虫剤の影響としか考えられず、むしろ影響は深刻化している面もあると説明しました。
こういった状況をどう解決していくかもお話しさせていただいたのですが、それについてはまたの機会に。