Scheffer自身が10年以上前に訂正したレジームシフト説をいまだ奉る生態学者

宍道湖をフィールドにした足かけ6年のプロジェクトも、あと2ヶ月で終了です。発足当初はシジミが激減していて、やれシリカ欠損だ、ダムを造ったからだなどと怪しげな説が流れていましたが、合理的に見たら塩分が低すぎることが主因としか考えられず、今では多くの方がそう思ってます。
一方で維管束植物の水草の大繁茂はますますひどくなっています。これについても、過去からのデータや化学の知見に基づけば、「富栄養化湖沼の維管束植物の水草は根こそぎに近いくらいの刈り取りをしないとアオコを発生させる」ことは予測できそうなものですが、日本の生態学者の多くが今でもレジームシフト説(当のScheffer自身が「あまりにも単純化しすぎた」と10年も前に訂正している説)にしがみついていて、刈り取り過ぎると植物プランクトンが増加するなどと唱えているのは本当に困ったことです。水質の基本的な化学くらいは知っておけとは言いませんから、せめて20年前の説を後生大事に奉るのではなく、その後の欧米の研究のレビューくらいはしてほしいと思います(まさか英語が読めないハズないでしょうから)。