手賀沼の大堀川河口には、下の写真のような植生が広がっています。
千葉県が作成した「水生植物群落図」では、この箇所を「ヨシ帯」としています。「『ヨシ』であることは認めますが、『水生植物』ではないでしょう?」と指摘しましたが、受け入れられませんでした。「ヨシ=水生植物」という思い込みが一般にはびこっているのは本当に困ったことで、例えば下の写真は手賀沼近くの放棄水田に形成されたヨシ群落です。水を引いていなくて完全に乾いていてもヨシは生えます。むしろ乾いたところの方が常時湿っているところより成長速度は大きくなります。
国土地理院の地形図では、この地点には荒れ地マークが並んでいます(赤で囲った部分です)。
国土地理院の定義での荒れ地は「利用されず荒れたままになっていたり、雑草が生えた土地や湿地、沼地などで水草が点々と生えているところ」とされています。その例として下記の写真が掲載されていました。
この荒れ地の例では、水草は全く無さそうです。もうひとつ荒れ地として掲載されていた写真が下記です。
これなら水草がありそうですね。ただし左側の赤丸を見ると、荒れ地記号があるところに青で横線が入っています。これは「湿地」の記号です。国土地理院の定義で湿地は「いつも水をふくみ、土地がやわらかくて湿地性の植物が生育している土地をあらわします。」となっていました。
つまり荒れ地は湿地を含みますが、荒れ地であれば必ず水生植物があるとは限らない、ということになります。
国土地理院の地図で大堀川の河口は「荒れ地」マークだけになっていますから、国土地理院はこの区域を「湿地、沼地などで水草が点々と生えているところ」とみなしたのではなく、「利用されず荒れたままになっていたり、雑草が生えた土地」とみなしたと解釈できます。
一般に空き地に草が生えた場合、所有者は草刈りなど適切な管理を行うことが義務だと思われます。たとえば土浦市では下記のように環境衛生課衛生管理係が空き地の草刈りの委託を受け付けています。
http://www.city.tsuchiura.lg.jp/page/page000658.html
冒頭の写真の枯れヨシでは、水稲の害虫が冬越ししていると思われます。また樹木まで生えてきているのですから、伐採も必要でしょう。
千葉県は管理をしたくないから「水生植物帯」に区分して放置しているのではないかと勘ぐりたくなります。