水草は基本的に繁殖力が強い

日本の川や湖といった水辺は、近年の水害を思うまでもなく、非常に撹乱が大きい環境です。こういった撹乱が大きいところに生える水草類は、短期間に成長・繁殖する、生態学の概念でr戦略をとる種類が多いです。
NHK趣味の園芸でビオトープを取り上げた記事ではこのことを明記して、ビオトープに使った水草は、たとえ在来種であっても水域に捨てないようにと注意しています。
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水辺という環境が不安定なせいか、水生植物には繁殖力がとても強いものが多くあります。そのため、ビオトープに使用される水生植物が湖沼や河川に入ると、爆発的にふえてしまうおそれがあります。
実際、水生植物がふえすぎて生態系に影響を及ぼしたり、水流や船舶の航行を妨げて農業や漁業に被害を引き起こしたりしている地域があります。
いったんふえた植物を除去するには、莫大な費用と労力、時間が必要です。ビオトープに使用した水生植物は、外国産、日本産にかかわらず、株はもちろん、切った枝葉も野外に捨てたりせず、可燃ゴミに出すなどして確実に処分しましょう。
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ところが過去には生物学者が、水草はそういう生物だと認識せず、実験に用いた外来種を環境に捨ててしまいました。その結果、全国に広がったのがオオカナダモと言われています(たとえばWikipediaの「オオカナダモ」参照)。
またアサザという典型的なr戦略の在来種(なので海外では侵略的外来種)を静穏な環境に植栽することを推進した生態学者もいます。一時的には増えても、r戦略のアサザはやがて自滅し、別の場所で増えていきます。それも知らずに、霞ヶ浦の自分達が観察しているところから消えたことで「日本のアサザが絶滅した」と吹聴するNPOが、子供達の自然観察を指導したりしています。水辺に関心がある学者やNPOの知的レベルがこの程度なので、日本の水環境は劣化するしかなさそうです。

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