健康長寿がやっている

「健康長寿がやっている。。。」との前置きで、食べ物だったり運動だったりを紹介する番組が頻繁に放映されています。
私にとってお手本になる健康長寿は、1950年代に85歳で亡くなった曾祖父です。戦争中も自家製どぶろくを作って晩酌を欠かさなかった曾祖父ですが、亡くなる前日、「今日は酒はいいわ。」と言って床につき、そのまま大往生したそうです。
これに対し祖父は50代でガンで亡くなりました。酒は全く飲めない代わりに、タバコは毎日吸っていました。父も吸っていたのですが、アメリカ留学から帰った私がその臭いに辟易し、生意気にも「娘の健康を考えたら即やめるべき。」と言ったら、本当に即やめてくれて、現在に至っています。父は来年で90歳で、お酒は昨年まで毎晩2合(一昨年までは4合)飲んでましたから、健康長寿の敵は、アルコールよりはタバコでしょう。私は吸いませんが、受動喫煙には注意しています。
曾祖父は亡くなる直前まで農作業をし、藁細工などの手仕事もやっていました。健康長寿のもうひとつのポイントは、農作業と手作業だと思っています。農作業は作物やその益虫、害虫を観察し、様々な可能性から作物にとってベターな方法を考案する、かなりクリエイティブで総合的な思考力・判断力を要する作業です。誰かが書いた論文を読んだり、脳トレで漢字を暗記するよりは、よほど脳を使います。手作業の方は、ピアニストはボケにくいと言われています。手を動かすことで脳が活性化するのでしょう。不器用な私は藁細工はできませんが、ピアノはこれからも続けるつもりです。
曾祖父が亡くなった頃は、日本で農薬が大量使用され始める頃でした。「〇〇がガンを抑制する」と特定の野菜の栄養素を紹介する番組は数え切れませんが、その野菜には諸外国とは比べものにならないくらい高い濃度で農薬が含まれている(特にネオニコチノイドは浸透性なので洗ってもとれない)ことは全く触れられていません。昨夜はブロッコリーのスルフォラファンを強調する番組が放映されてましたが、曾祖父はブロッコリーを食べたことはありません。アブラナ科の他の野菜をそれぞれの旬に食べることで、同等以上の効果があったのだろうと思います。
その頃は当然無農薬、かつ露地栽培でした。最近は家庭菜園でもビニールマルチを使って保温していますが、マイクロプラスチックを増やすという点からも、家庭菜園こそ草マルチでしょう。。と思います。
世界でも最もリサイクル文化が発達していたとされる江戸時代生まれの曾祖父の生活を、孫である来年90歳の父から日常的に聞くことができて、環境研究の上でも大変参考になっています。そして、日本の多くの環境研究者(特に生態学者)と考え方が全く違うのは、曾祖父の時代との距離によるのだろうと思います。