湖沼の漁獲量が減少する主要原因はラン藻の優占とネオニコチノイド(一部は水草の過剰繁茂)

日本の湖では漁獲量が減少の一途をたどっています。その原因はバスやギルなどの魚食性外来魚とした論文もありますが、この論文は「現場を全く見ずに統計だけで検討すると、こんなデタラメなことを発表してしまうのですよ。」という典型例です(生態学者の論文には、時々この手のトンデモ論文があるので、要注意です)。
例えば、湖沼の漁獲量は養殖を除くと大部分がシジミなのですが、バスやギルはシジミを食べません。また、シジミが取れる湖沼は汽水で、バスやギルはほとんど侵入しません。ですから、バスやギルが原因とするならば淡水湖沼だけを対象にし、かつ、シジミを漁獲対象から外さなければならなかったのです。
最近ようやく、私が30年前から言い続けている、「漁獲量が減っているのは植物プランクトンから魚介類につながる物質循環が滞ってきたから」ではないかと認識されるようになったようで、琵琶湖ではその前提で下記のセミナーが開催されるようです。
びわ湖セミナー ~生態系保全をめざして -湖の水質と生き物のつながり~
しかし題目を見る限り、なぜ滞るかについて明快なビジョンを持っていないようです。
漁獲対象が二枚貝の場合、動物プランクトンを経ずに植物プランクトンが捕食されます。この場合、滞る原因は餌の質です。これについては、下記リンクのPDFで一般向けに解説しました。
https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/suisan/shinkou/gyosei_info/shinzikohozensaiseikyougikai/houkokusyo.data/4matome_kadai.pdf
漁獲対象が魚の場合、減少の大きな原因はネオニコチノイド殺虫剤使用により、魚の餌になる無脊椎動物が減少した為と考えています。
みなさまお住まいの湖沼で、1993年以降に動物プランクトン食、もしくはベントス(二枚貝を除く)食の漁獲対象魚が減ったということはありませんでしょうか。もしそのような例がありましたら、是非情報をお寄せください。