新型コロナワクチンになぜ不安を感じるのか?

新型コロナワクチンの接種が始まりました。接種後にじんましんや手足があがらないなどの副反応が報告された一方で、めまいや過呼吸などの症状が出た事例もあったそうです。これは不安やストレスが要因となった「予防接種ストレス関連反応」と呼ばれているものだそうです。
こういうこともあってワイドショーのゲスト達は連日のように、「副作用などの情報を国が丁寧に提供することが大切。」と語ります。それで不安は減るのでしょうか?
少し前の記事ですが、いくら情報提供しても、人々のワクチンに対する不安は減らない理由を解説しています。

ワクチンの副反応を受けた場合は顔を出し、どのような被害でどのように苦しんでいるかの声を上げることができます。これはワクチンによって〇〇%が感染から免れているという「統計的情報」よりもはるかに大きく心に響くという、人間の心理がベースにあるのです。
この問題は、環境問題について私が長年取り組んでいる「マンホールの蓋問題」と共通する面があることを、上記記事でも触れています。自然を再生するイベントに参加したら、何かした気がして満足が得られます。でも本当は、自然が壊れる前にどうやって予防するかの方が大切なのです。
自分の体なら大病して治療するよりも、未病段階で予防する方が大切と分かります。大きな病気やケガをすると、発症前の状態に完全に戻すことは難しいからです。
自然環境はもっとそうです。自然再生なんて、本当の意味ではできません。だからかつては「一度壊れたら元に戻らない自然を大切に」と、アセスメントを求める運動がおこり、アセスメント法ができました。なのにその精神を台無しにしたのが、「順応的管理」という怪しい概念です。
20歳から水環境問題に取り組んで40年、何かが起こる前にどうすればよいかを検討するのが重要だとどうすれば分かってもらえるのか、まだまだ糸口が見えません(むしろ一部の生態学者たちのおかげで、かつてより難しくなってしまったのが残念です)。