小動物の解剖

日本ミツバチを飼う上で恐いのはアカリンダニです。これに寄生されると飛べなくなったミツバチが巣の周りをぞろぞろ徘徊し、そのまま死んでしまいます。私が昨年飼育したコロニーが冬になって急に少なくなった原因は、もしかしたらアカリンダニではないかと思っています。

アカリンダニの感染はこの時期には既に起こっているのですが、死に出すのは秋以降で、それから対策をしても間に合いません。なので死に出す前から感染の有無をチェックして、感染していたら薬剤などで対策することが大切です。
養蜂の師匠はアカリンダニの専門家に昨年度まで見てもらっていたのですが、今年からは部署が変わったか何かで、お願いしにくくなったそうです。私は学生の頃、多毛類の同定をしていて、かなり細かい解剖もやってました。なのでもしかしたら私でも感染の有無を調べられるかもしれないと思い、その専門家にお願いして方法を教えてもらいました。
下の写真で赤い矢印がミツバチの気管を指しています。右のは透明ですが、左のは茶色く変色しています。この変色しているのがアカリンダニに寄生された状態です。頭をもぎとり、胴体側についている「カラー」と呼ばれる器官を剥がすと、このように気管が見えるようになります。

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専門家の指導のもと10匹くらいやってみましたが、うまくカラーが外せたのは1匹だけでした。多毛類の同定も1000個体くらいさばくうちにナントカできるようになりましたので、この作業もそれくらいはやればコツがつかめそうな気がします。
小動物の解剖は40年ぶりくらいですが、私はこういう観察も好きなタイプだったんだと、改めて認識しました。こういう作業は実体顕微鏡があればできますので、定年後に化学物質の機器分析ができなくなったら、顕微鏡があればできる研究を再開するのも手だと思いました。