リニア新幹線下流の魚が心配

長野県はリニア新幹線のトンネル工事が各地で着工・予定されています。私は長野県の環境アセスメント関係の委員をしていることから、「掘削した土砂を置くヤードからの排水を河川に流す際には、河川の環境基準である全亜鉛濃度を測って下さい。」と繰り返し意見してきました。JR側は「土壌汚染項目に全亜鉛がない」との理由で全亜鉛を測らずに流してよいとしているのですが、河川の水質基準に全亜鉛があって、土壌ではなく排水の形態で川に流すのですから、全く理屈が通りません。

それまでは長野支社の担当者が答弁していたので、前回、「本社に持ち帰って社としての方針を示してください。」とお願いしました。昨日の委員会でその結果を尋ねたところ、「全亜鉛は測定しないことに変わりはありません。」とのことでした。

全亜鉛が環境基準になったのは、サケ・マス類は特に幼稚魚において亜鉛の急性毒性をうけやすいからです。

JRには改めて、「今後、工事区下流で全亜鉛が基準を超えた場合、モニタリングしていなければ、貴社の工事が原因ではないと証明できませんから、被害が起こったら無条件で補償するのですか?」と質問しようと思います。おそらく補償は考えていないという回答になると思います。

長野県でニジマス釣りを楽しまれている釣り人の方や、サケ・マス類の遊漁などで生計を立てている方は、工事開始からこれらの魚が減っているなどの異常が起こっていないか、工事以前の状態から記録をとっておくとよいと思います。

またパックテストなど簡易法でもよいので、特に降雨後の全亜鉛を測っておくとよいと思います。JRは年1回、晴天が続いた低水位期にのみ測定するそうなので、一番影響が出にくいときしか測らないことになります。出やすいのは、ヤードに積んだトンネル掘削土砂に雨が当たって、亜鉛が溶出してそれが排水されるときだと思われます。