バスだけ駆除しても生態系は戻らない

昨年ハスが消滅した宍塚大池で実験を始めてから、1ヶ月近くになりました。アメリカザリガニが入らないようにしたプランターでは、水位が低下して底が露出しても、ハスが元気に育っていました。

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実は宍塚大池では、過去にも一度、ハスが消失しました。水位低下によって酸欠に陥りバスなどのザリガニ捕食者が激減し、ザリガニが増殖してハスを食い尽くしたのです。その時の状況が環境省のホームページに掲載されています。

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https://www.env.go.jp/nature/amezari_mondai.htmlから引用

この時は釣り人がバスを放流してアメリカザリガニを捕食するようになったため、宍塚では再びハスが生えるようになりました。そして一昨年、再び水位低下してバスなどが激減、翌年にハスが消滅するという、同じ事が繰り返されました。上の写真と同じように、現在の宍塚大池の水色は茶色く濁った状態になっています。

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前回と今回の違いは、今回はさすがに釣り人達がバスをあえて放流していないことです。なので宍塚はこのままハスも沈水植物もなく、ザリガニだらけの茶色い状態が続きそうです。
在来魚に影響するからとバスを駆除するのは正しいかもしれませんが、一方で外来種であるアメリカザリガニの有力な捕食者を駆除してしまう影響も考慮されるべきと思われます。アメリカザリガニを減らさない限り、宍塚はハスも沈水植物も生えない状態であり続けます。そして今のところ、アメリカザリガニをある程度効果的に捕食しているのは外来魚なのです。