何事も無く過ぎますように。。。

午前はNHKの大雨に関するニュースを聞きながら仕事していました。
平成30年以降、必ず広域かつ重大な水害が起こっていて、水圏環境学の講義資料を毎年書き換えていました。来年用は「令和3年大豪雨」なんて加えないで済むようにと思いつつ聞いていました。
九州北部~中国地方に線状降水帯ができていて、江の川では氾濫が発生したようです。
この地方は地勢上、私が思いつくだけでも大きく4つ、不利な条件があります。
まずは上記の線状降水帯。水温が上昇した東シナ海で十分な水分を吸収した気塊がこの地方で雨を降らせます。
次が地盤。九州は火山噴出物、中国地方は風化した花崗岩が地盤になっていて、土砂崩れが起きやすいのです。
3番目が南方から越境してくる害虫。ネオニコチノイドに耐性を持ったトビイロウンカによる稲作への被害は、この地域で年々深刻化しています。
最後に中国からの越境大気。PM2.5 だけでなく、酸性雨のもととなる硝酸に加え、近年はリンも空から降ってくるようになりました。集水域の富栄養化対策だけではどうしようもないことです。系統的な調査はされていませんが、水銀も降ってきていると思います。
こうしたハンディを背負っている地方には、国税の一部を毎年還付するなど、地元で実態に即した長期的な対策を立てられるような支援ができないものかと、常々思っています。
もっとも、県職員さん達が危機感を有してない可能性もなきにしもあらずです(島根県の県職員さんたちと話していて私の心配が全く理解してもらえず、地学の素養がある職員さんってマイナーなんだろうと思うことが多々ありました)。