ネオニコが一番高かった水道水は?

3月の水環境学会での口頭発表や環境ホルモン学会ニュースレターへの寄稿では、ネオニコのジノテフランが800ng/L以上検出された水道水を「秋田県X市」と表現しました。全国には他にもこれくらい出ている水道はあるので、ここだけが高いと住民が過度に心配してはいけないと思ったからです。
しかしながら国の基準未満とは言え、これだけネオニコが出るということは他の農薬だって高いはずです。かつて水道水に混入してガン患者を増やしたのはCNP・PCPという除草剤で、濃度は国の基準未満でしたがガンを発生させてしまったのです。
さすがに県でも調査するなど多少は住民の健康を配慮した対応を検討するかと思いきや、県議会で質されると「直ちに健康被害の恐れない」と断言したと報道されてました。

そうですか、そのつもりならと、この研究を助成下さった2団体のうちの1つの報告書に、どこの水道なのか明記しました。「秋田市」です。

これまでの助成研究・研修|高木仁三郎市民科学基金

除草剤によりガン患者が増えたことは、新潟市水道水を調べた研究者により明らかになりました。このためでしょう、新潟市水道局の浄水場は全て粉末活性炭注入設備(=農薬をある程度除去できる設備)を有しています。これに対し秋田市上下水道局では、仁井田浄水場にも豊岩浄水場にも、活性炭処理できる施設がありません(以上は「全国浄水場ガイド2020」で確認しました)。実際、当研究室では新潟市某浄水場の水道水も分析しましたが、ジノテフランの最高濃度は30ng/L未満で、EUの飲用水基準(100ng/L)をはるかに下回っていました。
聞くところによると新潟市で除草剤CNP・PCPが問題になったときも、秋田市は調査するなどしていなかったそうです。その姿勢が新潟市では活性炭処理をするのに秋田市ではしないという、今の違いにつながっているのでしょう。両地域とも米どころで、同じくらいネオニコの空中散布を行っていると思うのですが。。