日本の水道水には農薬が混入し、過去には健康被害が起こっています。
ウィキペディアで「クロルニトロフェン」を検索すると、下記が記載されています(2023年10月30日確認)。
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CNPと略記される。1993年、新潟大学の研究グループは日本疫学会総会において、新潟県で頻発していた胆嚢癌の原因がCNPである可能性があると発表した。胆嚢癌の標準化死亡比は新潟県や山形県・青森県・秋田県など米どころで高く、ダムや地下水を上水道の水源とする上越市や十日町市が全国平均並みないしそれ以下であったのに対し、水田地区を流れる信濃川や阿賀野川から取水する地域では新潟市が男性で190.1(1981年-1990年の死亡合計を基に、全国平均を100とした場合の胆嚢癌の標準化死亡比)、長岡市で女性194.8、新発田市で182.0と高い数値を示した。1992年5月の調査では、上越市の水道水ではCNPが不検出であったのに対し、新潟市では最大で554ppt検出された。1994年、厚生省残留農薬安全性評価委員会はCNPと胆嚢癌との相関を認め、それまでの一日摂取許容量0.002mg/kg/日を撤回。三井東圧はCNPの製造を自粛し、農林水産省もCNP製剤の使用を取りやめるよう通達を出した。その後、1996年9月29日に農薬登録が失効した。
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そして1994年3月8日付けで厚生省は下記の通達を出しました。
・クロルニトロフェン(CNP)について(◆平成06年03月08日衛水第56号)
「水道水中のCNP濃度については、当分の間、0.0001mg/L以下を暫定水質管理指針値として水質管理を行うこと。」とあります。また「水道水源地域においてCNPが使用され、水道水質が暫定水質管理指針値を超える状況にあるとみられる場合には、浄水場における活性炭処理により対応すること。」ともあります。つまりこの時には多くの浄水場が原水のCNPの分析と、基準を超えたときの活性炭処理が義務づけられていたのです。
そこでウィキペディアで胆嚢癌の標準化死亡比が高くなっていたとされる青森・秋田・山形・新潟県の県庁所在地の市の浄水場について「全国浄水場ガイド2022」を使って、
1)水田からの農薬が混入しやすい河川水を水道原水にしているか?
2)上記で河川水を原水にしている場合、粉末活性炭処理を行っているか(少なくとも処理設備はあるか)?
を調べてみました。県庁所在地は平野部にあって、集水域にある水田の影響を受ける河川から取水している可能性があり、かつその被害が農薬をまいている米農家だけでなく、農業とは無関係の多くの住民に及ぶからです。
その結果、秋田市の浄水場2箇所全てと、と青森市の1つの浄水場が、河川水を原水にしているのに粉末活性炭処理設備がありませんでした。
このうち青森市の横内浄水場は横内字桜峰16-3にあり、Googleマップで見たところ、上流に水田が広がっているようには見えませんでした。CNPの通達が出た時ときも0.0001mg/Lを超えなかったので粉末活性炭処理設備が不要だったのだと思われます。
問題は秋田市の浄水場です。
CNPの通達時には少なくとも水道原水のCNPを測っていたはずです。そして新潟市同様にCNPは高濃度だったでしょうから、粉末活性炭処理を行っていたはずです。なのになぜ、他の東北の米どころ市には粉末活性炭処理設備があるのに、秋田市だけ無いのでしょう?
10月28日の当ブログ記事を読んで、「ウチの水道水は大丈夫か?」と心配になった東北の米どころにお住まいの皆様、県庁所在地しか調べていませんが、秋田市以外は安心して大丈夫だと思います。
なお昨年度の当研究室の調査で、農地の水田率が8割以上のl複数の東北以外の自治体の水道水で、EUの飲用水の農薬基準値を超える濃度のネオニコ(ジノテフラン)が検出されました。
ネオニコが混入するということは田植期前後に除草剤も混入している可能性があります。水道原水になる河川に水田からの農薬が入る今の日本の状況は、狂気の沙汰としか思えません。