ウィキペディアで「ネオニコチノイド」を検索すると、「ネオニコチノイドは、水溶性が高く植物体への浸透移行性もあるため、残効が長いという特長を有する。」とあります。実際、ジノテフランというネオニコチノイドは主に水田で夏に散布されますが、全国12箇所の水道水を毎月調べた結果、全地点で常に検出されました。残留性が高いと思われます。
ネオニコチノイドは有機化合物です。しかも残留性が高いので残留性有機汚染物質と呼べると思います。
英語でPersistant Organic Pollutants (POPs)と表記されている対象物質は、日本語に訳せば「残留性有機汚染物質」ですが、ネオニコチノイドはPOPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)の対象には定義上なりません。
POPs(Persistent Organic Pollutants:残留性有機汚染物質) | 保健・化学物質対策 | 環境省
POPsの対象となるのは高い蓄積性がある化学物質で、その蓄積性はLog Kowが5以上であることとなっているからです。
https://www.env.go.jp/chemi/pops/pamph/pdf/p10.pdf
Log Kowは水に溶けやすいかどうかを示す指標で、溶けにくいほど大きな値になります。ネオニコチノイドは水溶性なので、5を超えるものはありません。水溶性が高いものは脂溶性が低く生物濃縮しにくいという発想からの定義ですが、水溶性が高いからヒトに蓄積しにくいとは言えません(例えば下記リンクではヒトの脳に蓄積すると解説されています)。
生物濃縮されなくてもヒトに蓄積する濃度が弊害を及ぼし、かつ環境残留性が高くヒトが曝露しやすいのであれば(水道水に含まれることで広範囲な曝露が起こっています)、POPs条約の対象にならなくても、要注意化学物質として取り扱われるべきだと思います。