鷹将軍と鶴の味噌汁~江戸の鳥の美食学

本の帯に「鶴、白鳥、雁、鴨、雉、鷺、鶉、雲雀、鳩、鴫、雀、水鶏、桃花鳥(ツグミ)。。おいしい野鳥が食べたい!現代人は、なぜこの味覚を捨ててしまったのか。」とあります。
日本人は第二次世界大戦前までは広く野鳥を食べていたことが紹介されています。私の父も野鳥を食べていて、私が1歳の時のアルバムには家族でつぐみ狩に行った写真もあります。
フランスでは今も野鳥食が残っているのに、なぜ日本では野鳥食が消えてしまったのか。
著者はその理由として野鳥の生息数の減少を挙げます。減少原因として、江戸に大量の水鳥を供給してきた手賀沼を例に、耕地整理などにより水鳥の生息に適さない環境になったことや乱獲などを挙げています。
そして「多様な生き物を食べることができるのは、多様な生き物が存在して初めて可能になる。自然の生き物を食する文化は、生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵み、すなわち生態系サービスによって支えられている。(中略)私たちは、環境破壊や資源の過剰利用によって、身近にあった食文化が消し去られてしまった悲劇を、そのような生物多様性の喪失として受け止めなければならない。」と書いています。

日本では魚と、魚を釣って食べる文化が、野鳥食と同じように衰退するのではないかと危惧しています。「多くの現代日本人が野鳥を食べることを残酷だと感じ、それを口にすることを忌避、あるいは嫌悪するであろう。」と同様、釣り人を敵視する保全関係者は少なくありません。
本書で著者が詳述している手賀沼では、旺盛に繁茂していたハス群落が2020年に突然消滅しました。それまでも魚は減っていると噂されていましたが、以来、急激にヘラブナなどが減ったと釣り人から聞きます。

日本釣振興会は淡水魚が減っていると危機意識を持っていて、原因はネオニコチノイド系殺虫剤などの農薬ではないかと考えています。

温暖化、護岸工事など他にも要因はあるとは思いますが、「農薬の影響はない」との省庁担当者の発言は、何を根拠に。。と思います。