昨日、私の学位論文の内容を紹介したのは、陸水学研究室のスタンスをご紹介したかったからです。
地理学という総合科学の一分野である陸水学は、その場で起こっている現象を物理・化学・生物などの緒学の手法を用いて、時空間での位置を意識して解析する学問だと私は思っています。
このような性格上、陸水学研究室には、特定分野の最先端の分析機器よりは、汎用性のある機器を揃えようと思っています(4月1日就任なので、まだ何もありませんが、今年受験する方が来られる頃には揃っている予定です)。
また、2年で仮説を検証するために、実験できるスペースも確保します。私の学位論文の場合、二枚貝ヤマトシジミの活性が最高になる夏に、40日くらい松江に泊まり込んで調査していましたが、1年目の夏は山陰豪雨後の濁りが40日ずっと引かず、何もできずにスゴスゴ帰りました。2年目の夏は渇水で塩分が上昇、普段は見られない渦鞭毛藻の赤潮が起こったりして「これ、ちょっと違うよなあ。。。」。
というわけで、まともなデータがとれたのは3年目。そんなこんなで博士課程には5年いましたけど、修士はやっぱり2年で何とかしないといけませんから、現場調査と実験を組み合わせた研究計画を指導したいと思っています。
特殊な装置を使った分析も組み合わせたい場合、同じ自然環境専攻の海洋研究所にはかなりの装置が揃っているので、ご協力いただけると思います。私が客員研究員としてお世話になっている産業技術総合研究所では炭素・窒素安定同位体比の分析ができます。
研究計画を立てる時は、水環境の何が問題だと思って、それは従来どう解説されているけれど自分はどのような仮説を立てるか、どうやってそれを検証するかを、よく検討して合理的な文章にまとめてください。それができれば、自力でも、研究室の仲間と議論してでも、様々なアイディアがわいてきます。そして、検証方法を検討する時、総合科学である陸水学のメリットを生かし、物理でも化学でも生物でも、それぞれの学問でどういう方法が取られているか、基本的な所は調べて、分からないところはそれぞれの専門家にお尋ねして問題解決に生かすことが、総合的な問題解決法の習得につながると思います。