わるいけど安直なコメントは無理やわ

10月12日は「琵琶湖総合保全学術委員会」に出席しました。11時45分から15時までは船で琵琶湖をまわってその現状を見て、それから2時間会議。「現状を見る」には、かつてホンモロコがたくさん採れていた所で地引き網をして、一体何が入っているかを委員に見てもらうという企画もありました。
「だって現状も分からないで議論もないでしょう?地引き網、本当は私も行きたかったのに。。。」とは、翌日お会いした嘉田知事の「もっとも」な弁。
さて、その地引き網、委員も胴長や長靴、軍手をお借りして、一緒に網を引きました。

入っていたのはご覧のように、ほとんどブラックバス。後で測ったら、在来魚500g、外来魚5kg、うち1尾だけがブルーギルで、残りは全部バス。

取材に来ていたNHKさんが「ご覧になっていかがですか?」「バスが多いですね。」「このような琵琶湖の現状について、どう思われますか?」「まあこの網の中はバスが多いですけど、この目合いなら小さい在来魚は逃げてますし、これだけでは何とも。。」「でもバスばかりですよね?」「でも琵琶湖全体ではバスの3倍くらいギルがいるはずなのに、ここでは1尾ですよね。ここでこういう採り方をすればこうなった、としか現時点では何も言えません。」
いや、何を言ってほしいのかはよく分かってたんですよ。NHKさん、ごめんなさいね。でもある場所である方法での1回限りのサンプリングで「琵琶湖」について何か言うなんて、科学者としてはできません。状況が分かっている場所で、自分が仮説を立てて、それを証明するために行った実験ならともかく。
因みに、それまではいつも大津の方にはそうしているように安心して由緒正しい日本語(=大阪弁)で話していたのですけど、NHKと見てすぐに標準語モードに切り替わりました。所属も東大だから、よそ者が初めて琵琶湖を見たのだと思われたかもしれません。実は私は、夏になると大阪から家族で琵琶湖に「海水浴」に来て泳いだり、瀬田川でモロコを採ったりしていた、今から思うとすごく贅沢な経験ができた世代なのでした。