昨日11月3日に、ご近所の公民館でNPO主催の講演会がありました。演題は「アメリカザリガニのはなし」、演者は西川潮先生(国立環境研究所環境リスク研究センター)でした。
主催したNPOは「宍塚の自然と歴史の会」で、オオクチバスの駆除がアメリカザリガニを増やし、それが沈水植物に悪影響を与えるのではないかと考えて、この会を企画したのでした。
西川先生のお話は、ザリガニの名前の由来から始まって、分類と分布、生活史、料理法、原産地での生態、侵入状況、駆除法など多岐に渡り、またそれをとても分かりやすく説明されていて、とても勉強になりました。
アメリカザリガニの本来の分布は、USAのメキシコ湾岸の低地で、日本に入ってきた20尾のアメリカザリガニはニューオーリンズのアチャフラヤ湿原産。その湿原はオオクチバス、ストライプドバス、ウシガエルや水鳥など、ザリガニの捕食者だらけだそうです。その為、ザリガニの生息密度は1平方メートル当たり2尾。これに対し埼玉県のため池では20尾、アフリカのとある湖では、何と500尾なんだそうです。
このアメリカザリガニ、今や侵入していない大陸は南極とオーストラリアだけ。かつ、アメリカザリガニが一旦侵入したところで駆除に成功した例は世界でもまだ一例も無いそうです。
高い移動能力を有し、スペインでは繁殖期に相手を求めて1日に4kmも移動した例が報告されています。これを聞いて会の方が「宍塚大池近辺でも、オニバスを栽培していた池に、一晩で大挙して押し寄せ、ちょん切られてしまった。こんなに移動するんじゃ大変ですね。」とため息をついておられました。
10月21日のブログでザリガニの子育てを初めて見たことを書きましたが、他にもとんでもなく面白い行動をすることを教えていただきました。アメリカザリガニの交尾は雄が上、メスが下なのですが、強い雄が弱い雄の上に乗る擬交尾も行うそうです。そして、これに応じなかった雄は、半分以上の確率で殺されてしまうとか。無脊椎動物でこんな社会行動をするなんて、他に例がないんじゃないでしょうか。
2時間半に渡ったご講演と質疑応答で、まだまだいろんな話題が紹介されました。身近な動物でも、知らないことってこんなにあるんだと、しみじみ感じました。