淡探による琵琶湖北湖の湖底調査の結果(速報)

「淡探存続」の署名、このブログの読者から多数寄せられたとのご連絡をいただきました。皆様のご厚意に感謝申し上げます(追伸:9日17時現在の総数は3000人位になりそうとのことです)。
その「淡探」の、もしかしたら最後になるかもしれない観測結果が、琵琶湖環境科学研究センター研究情報統括員の熊谷道夫様より寄せられました。琵琶湖では、確かに何かが起こっています。それを「見える」状態で伝えることは、とても大切だと私は思います。

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(1)12月4−5日に、6000mの直線に沿って、調査を行った。淡探は、下図、矢印方向に直進した。

(2)この間に、魚類(イサザなど、下記の上側の写真)やスジエビ(同、下側の写真)の死骸が多く湖底に散在しているのを撮影した。


(3)抽出した600枚の画像の中で確定できた魚類の死骸は41匹、スジエビの死骸は47匹であった。

(4)酸素濃度は、2.05±0.87mg/Lであった。なお、最低溶存酸素濃度は、0.57mg/Lであった。

(5)1枚の画像の平均面積は、0.07m2であり、画像の幅は0.3mであることから、6000mの調査域中に推定される魚類およびスジエビの死体の面密度は、
魚類:41匹×0.07×600÷(6000m×0.3m)=0.97匹/m2
スジエビ:47匹×0.07×600÷(6000m×0.3m)=1.09 匹/m2

(6)この推論を検証するために、2000mの区間で、前方画像中に確認できる死体数(魚類+スジエビ)を計数したところ、1207匹であった。視界の横幅を1mとすると、
1207匹÷(2000m×1m)=1.207匹/m2
であった。濁度が非常に高い湖底境界層中で撮影されたビデオ映像と、比較的鮮明な画像が得られるデジカメの画像との差はあるが、オーダー的には有意な数値が得られているものと思われる。

(7)琵琶湖において溶存酸素濃度が2mg/L以下の低酸素水塊の面積は、ほぼ100,000m2であると推定されるので、魚類およびスジエビの推定死亡数は、それぞれ約10万匹に及ぶものと思われるが、詳細には、淡探を用いた調査を継続することが必要である。

(8)死亡原因としては、広域であること、死亡した魚種が多様であることなどから推察するに、急激な酸素低下が最も可能性が高い。

(9)今後の影響であるが、大量の生物の死亡に伴って、溶存酸素濃度がさらに低下する可能性があり(ポジティブフィードバック)、また、今後の魚類資源や水質への影響も懸念されるので、注意が必要である。