研究だけが水環境問題の解決への貢献ではないから

富栄養化湖沼でのアナモックス反応を修論のテーマにしているM1のT君、研究費の一部は○大学の科研費で援助いただいています。先週末はその科研費の中間報告会があったので、T君も一緒に出張して発表してもらいました。何度もゼミで練習しただけあって、大好評。懇親会では先生方から「優秀な学生さんですね」と褒めていただけました。
ところが当のT君はシュンとしています。どうして?「○先生から話かけられて、進学ではなく国土交通省を目指していますと言ったら、途端に態度が冷たくなった気がします。。。」それだけ研究の進展に皆様が期待されているのですよ。幸い、アナモックスをやりたいと今からゼミに来るくらい熱心な新M1もいることだし、陸水研全体のテーマとして、産総研や他の大学の先生方と一緒に、このテーマに取り組んで行きましょう。
翌日T君には、送ってもらったサンプルの分析だけでは不十分だから、今日の会議は出ないで現場である○湖を見てきなさいと伝えていました。それを知った○大の方のご厚意で車を出していただいて、湖岸からフィールドを案内してもらったそうです。これからしばらくは受験勉強に集中するT君。夏になったらまた修論研究に復活して、今度は○湖で現場実験に取り組んでくださいね。
基礎研究は重要ですが、研究者を育てることだけが、陸水研でできる水環境問題の解決への貢献ではないと思っています。新しい河川法では治水、利水に加えて環境を重視しています。個々の生物を重視するのではなく、「場」というシステムとして環境を捉えることのできる、地学系の研究を修めた人材が国土交通省で活躍してもらえれば、私としては博士になってくれるより嬉しいかもしれません。
うまく採用されても、自然科学では最適な解がスンナリ通らないなど、いろいろフラストレーションがあるでしょう。それでも頑張ってほしいと思います。