身の回りの農薬規制と管理のあり方

「化学物質問題市民研究会」のニュースレター「ピコ通信」112号に「日弁連環境問題シンポジウム みんなで考えよう身の回りの農薬規制と管理のあり方」の報告がありました。
その中でも群馬県衛生環境研究所長・小澤邦寿氏の指摘にはいろいろ学ぶことがありました。
地方自治体の研究所は、財政難から、環境関係の予算を削減しているところが多いです。また、より力がある集団に不利益になるような研究をさせない傾向も、無きにしもあらずです。そんな中で群馬県の研究所は、国が積極的な調査や対策を取らないでいる農薬の空中散布問題を、自前で調査し、その科学的な結果に基づいて中止させました。
県民にとって本当に大切な研究ができるのは、厚生労働省でも環境省でもありません。地元に密着している、自治体なのです。この方向が他の自治体にも広まってほしいと思います。

☆「ピコ通信」、私の部屋の扉に最新号を貼っておきます。ご自由にご覧ください。

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・胎児・乳幼児期に人間はたくさんの神経細胞のネットワークを形成する。それが、情緒、思考などの人間らしい高次脳機能をつくる。その時に有機リンが関与すると、情緒的障害や学習能力の低下などが起こりうる。
EU では、欧州指令によって農薬の再評価を諮って、有機リン農薬はほとんど禁止された。また、農薬の空中散布は原則禁止となった。
有機リン系農薬の安全性評価についての問題点としていくつか挙げたい。成長発達段階におけるヒトの神経系発達への悪影響を示唆する論文が数多くあるのに、認識されていない。欧米での規制状況について、情報収集し公開するということがない。農薬の再評価に際して、現行では行われていない発達神経毒性試験を加えるべきである。
農水省が昨年度、有機リン試験方法についての調査事業で諸外国の関連情報調査を500 万円で委託して終了したと聞いている。しかし、調査結果が非公開。加えて、検討会を設置して有識者と試験方法について検討を行うとなっているが非公開なのはおかしい。