日本地球惑星科学連合のニュースレター2007年No.4に、東京大学の浦辺先生がレアメタル資源に関する文章を書いておられました。周期律表に色分けで鉱石の年間生産量が表示された図、便利に使えそうです。
また文章の中に、日頃から私が感じているのと同じことが書かれていました。
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諸外国において,世界的な探査活動の増加に伴う探査地質屋の確保が問題となっている.たとえば地質屋の社会的地位が高いオーストラリアでは,昨年,大学卒の平均初任給の最高位は,歯科医を抜いて地質卒業生となったとのことである.(略)日本の資源関連企業ではさらに深刻なことに,長年地質専門の卒業生を採用しておらず,探査経験を持つ人の多くが定年を迎える年齢になっている.
大学においても,工学部,理学部ともに資源関連分野に関する研究・教育は疲弊しており,人材が供給できない状況が続いている.最近,資源関連各社の旺盛な採用意欲に驚かれた大学人も多いと思われるが,社員に対する再教育に取り組む動きも活発化している.
ただし残念なのは,再教育の場として選ばれているのは我が国の大学ではなく,オーストラリアの大学だということである.
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私の出身校である大阪教育大学付属高校天王寺校舎は、1,2年生は全員地学必修、1年の時には科学の教官全員の引率によって、地学実習がありました。クリノメーターとハンマーを片手に、露頭図を書いたり断層の傾斜などを測りました。この時の経験のおかげで、大学では陸水学だけやって(=地形学関係はさぼりまくって)地質調査所に就職しても、初任者研修でクリノメーターとハンマーの使い方が分からない、なんて恥ずかしいことにはならないで済みましたし、断層の研究なども興味を持って聞いていました。
今の高校ではどれくらいが、地学を教えているのでしょう。地球温暖化、大陸棚のガス田問題など、資源小国環境立国を目指す日本にとって、一番大切な地学が、危機的になおざりにされていると思わざるを得ません。
私は、地学は日本の高校では必修にすべきだと思っています。また、国家100年の計を任されている官僚の方々においても、国家公務員試験で地学の素養を問うてほしいと思っています。