駒場の講義

駒場の1年生を対象にしたオムニバス講義「地域生態学」は、本郷の地学の教員と、自然環境専攻関係の先生とで受け持っていて、各教員2回づつです。
初回のビックリを踏まえ、「前回の様子から反省して、スライドは66枚にとどめました」と、再度説明を始めました(この時点で、この教員の話すことを板書するのは諦めようとの苦笑いが広がる。。。)。
「試験が終わったら二度と見ないようなノートを作っても意味がないです。そうではなくて、膨大なデータから何がポイントか、キーワードなり簡単な図などにして抽出する能力を養う訓練と思ってください。」
そして、速読法の解説などに見られるように、人は文字列ではなくイメージの方がよく記憶できるし、個人的にはそのイメージの集合から発想がでてくるように思う。あなたにしかできない創造力というのは、そういうところから育まれるのだと思う。
以上は脳脊髄液減少症を通じていろいろ感じたことも踏まえた私なりの解釈ですが、それに納得してくれたのか、この回は板書をとるよりは、大量の情報の中から何をくみ取り、それをどう総合するかに、全体の3分の2〜4分の3くらいが集中しているように見えました。

そう言えば講義名さえ紹介していませんでした。

地域生態学「モンスーンアジアの自然環境・地球生態系と環境問題」
私は「気候帯と水環境」というお題をとりまとめの教員に提案し、認めていただいたので、下記でお話を作ってみました。
第1回:沿岸域の水環境
第2回:水との関わりから考える環境問題

第1回の内容は
山室 真澄(2006)沿岸海域の生物・生態系.社団法人水環境学会編「水環境ハンドブック」,朝倉書店,pp.100-107
にまとめた内容を、極力イメージで理解してもらうために工夫をこらしたものです。
第2回は、公的機関がホームページで公開しているデータを中心に使い、データの見方、解釈の仕方、その基本となる考え方を紹介したつもりです。
「水との関わりから考える環境問題」の中から、今回は特に「日本における水供給の現在と将来」という範囲に絞り、下記の順で議論を進めました。

1.なぜダムをつくるのか?
  ・日本の川の特徴
  ・モンスーンアジアにある日本における雨の降り方などの特徴
2.それによってどのような弊害が生じているか?
3.ではどうしたら?

最後に参照した主なURLを示し、これらを各自で見て別の解釈ができるか試してみると面白いかもしれない。そこから何を引き出し、自分たちが生きていく社会の20年、30年先を見据えてどう活かしていくかは、50歳近いオバサンの私が考えることではなく、あなた方が考えていくことです、と冷たく突き放して終わりにしました。

この講義は、最後にアンケートを取るそうです。どんな評価が下るか楽しみです。ほとんどは「早すぎてよく分からなかった」となると思いますが、もし3人以上、これだけの内容を理解できて、「すごく面白かった」「これが最高だった」と書いてくれる学生さんがいたら、大変な苦労をしたけどやってよかったと、つくづく感激するだろうと思います(この2回の講義のために、どれほどの時間を費やしたことか。おかげであと12日後には出かける国際学会の準備、ようやく今日から、ゼロから始める羽目に。。。^^;)