環境ホルモン学会ニュースレター最新号の巻頭言は「改正化審法の問題点」でした。
著者の岩田先生(愛媛大学)は、改正化審法が人間への健康被害だけでなく「生態毒性試験」を審査項目に加えたことは評価できるとした上で、次の問題点を指摘しています。
まず、生態毒性試験の内容が藻類生長阻害試験・ミジンコ急性遊泳阻害試験・魚類急性毒性試験のみを対象にしていることです。常々私も主張しているように、これら3種=生態とは、どう考えても言えないと思います。ちなみに、私は拙著「里海モク採り物語」で、除草剤が日本の水草を衰退させた可能性を指摘しましたが、一次生産者を大型植物から植物プランクトンに変えてしまったこのような毒性の方が、「生態毒性」と呼ぶにふさわしいと思っています。
岩田先生は、試験項目が急性毒性に限られていることも問題としています。実際に動植物が化学物質の影響を受けるのは、ほとんどの場合、慢性的な曝露を通じてだからです。
私からさらに加えれば、環境においてはこれら化学物質が複合的に曝露している点も考慮すべきだと思います。
第2の問題点として岩田先生が指摘されているのは、生態毒性試験の審査を受けるのは、これから新規に申請される化学物質のみで、既存の化学物質の生態毒性は調べられないことです。つまり、今出回っているものが危なくても、それは網の目をくぐってしまうと言う、ちょっと信じがたい事態なのです。。。