83歳の筆頭論文

25日に届いた「海の研究」(=日本海洋学会和文誌)最新号に、「中部国際空港島建設による水質、底質、底生生物群集の劣化」という論文が掲載されていました。筆頭著者は、昨年10月に逝去された西條八束先生です。
先生は1924年生まれですから、83歳での筆頭論文ということになります。生前お電話いただいたときに、「これが最後の自然科学の論文になります。これが終わったら父親(詩人・西條八十)のことについてまとめようと思います。」と話されていたことが思い出されます。
私はもともと病弱で、両親ともにガン家系で、母も60代前半でガンで亡くしました。おまけに脳脊髄液減少症なので、それほど長生きできるとは思えませんが、たとえ長生きできても、西條先生のように70歳を過ぎてから「まだあるうちに見ておきたい」とアラル海に行ったり、83歳で現地調査をして論文を書くなどあり得ないと思います。
このブログの左上にある検索欄で「西條」と入力すると、先生に関する記事が出てきます。東大地理の陸水学を引き継いだからには西條先生をめざしたいところですが、私ではとうてい無理でしょう。これから定年までの約18年の間に出会う学生さん達の中から、西條先生のような陸水学者が私を反面教師にして育ってくれますように。