保育園・病院で被曝して中枢神経機能障害発症?

化学物質問題市民研究会のニュースレター「ピコ通信」134号に、「中枢神経機能障害の労災認定棄却の取り消しを求める裁判」という読者からの投稿記事がありました。読んでいて背筋が寒くなる思いがしました。この方が労災として中枢神経機能障害を発症したと訴えている、その職業にです。
まず看護師として有機溶剤(ホルマリン・トルエン・アセトン・エチレン)、消毒・滅菌薬(クレゾール・消毒用アルコール・エチレンオキシド・カルボール)、有機リンを病院内で使用していた事による長期微量暴露で、次第に健康を損ねていったとしています。次に新築の保育園で、乳児用のベッドを開梱した直後から化学臭が周囲に漂い、働いていた皆が光化学スモッグのような眼のチカチカ感や頭痛、息苦しさ等を訴え、このままでは使用できないと、室温を30℃に設定して簡易ベークアウトを行い、その4日後に倒れたという点です。原因物質として、本学環境系の柳沢先生が、今まで誰も着目していなかった、乳児用ベッドのホルムアルデヒドの存在について検証した意見書を書かれたとのことです。
健康を取り戻すことを求めて行くはずの病院で、長期勤務したら健康を損ねる。誰よりも弱く守り育てなければならない乳児を預かる施設が、ホルマリンで汚染されている。運良く顕著な中枢神経機能障害が発症しなかったとしても、それらが原因で、子供や長期入院した老人が、いわゆる「切れ安い」精神状態になってしまう可能性が皆無ではないと思いました。
この方は倒れた時に搬送された病院でCT その他の検査で異常が見つからなかったことから、不安神経症と診断されたそうです。そんなことを言っていたら脳脊髄液減少症だって、通常のCTでは異常が認められません。その為に本人の努力不足、意志力欠如のように言われ続けているように、預けられた保育園で、入院した病院で、性格が変わる程度の化学物質の暴露を受けても、今の一般の医療機関の検査で異常が検出できるはずがない。脳脊髄液減少症を患者と接する中で見つけられたS先生は「気のせいとか更年期だと言うのは、自分の技量では原因が分からないと告白しているようなものです」と言われました。S先生のような方が多数派になれば、こんなバカげたことにはならないでしょう。さらには、化学物質と人間がどうつきあうかは人類共通の課題ですから、その分野で日本がリードすることだってできるのでしょうに。

☆ピコ通信、いつものように大学の自室の扉に貼っておきます。ご自由にご覧下さい。