化学物質過敏症--あなたも明日発症する?

化学物質過敏症支援センターの会報「CS支援」第53号に寄稿したところ、4月30日発行の54号も送っていただきました。胎児の時に化学物質に曝露したことから重力をコントロールする神経伝達物質が欠損し、生まれてからずっと25mプールの水が覆い被さってくるような息苦しさの中で生きてこられた21歳の患者様の様子を、御尊父が投稿されていました。原因は特定はできないものの、結婚と同時に住んだ新築の家だろうとのことでした。ホルマリン処理されたベニヤ板、防かび剤入りの壁紙、後に使用禁止になった防蟻剤。。。結婚2年後に生まれた娘さんだけでなく、奥様も化学物質過敏症を発症してしまったそうです。
他にも「CSと近縁疾患『線維筋痛症化学物質過敏症』」など興味深い記事があったので、購読会員手続きをした際に、上記の患者様が中学生の時に書いた文章が掲載されているとあったパンフレットも送ってもらいました。パンフレットの一部は下記からダウンロードできます。
http://www.cssc.jp/CSannai0912.pdf

私はいわゆる「環境」関連のトピックのなかで、グローバルチェンジとか種多様性とか保全生態とかではなく、「化学物質」が最重要課題と考えています。うちの研究室でできることには限界がありますが、どのテーマに取り組む学生さんであっても、常に関心を持っていてほしいと思います。

1968年、大阪郊外に住んでいた私はある朝、田んぼが見渡す限り真っ白になっている光景を目にしました。それは農薬で浮いた魚の腹でした。水面が全く見えないほど、死んだ魚に覆われた田んぼ。これが撒かれる前と後では、死んでしまった魚にとってだけでなく、人間にとっても違うのではないか?なのにこのようなことを大人が平気で続けていられることも、全く理解できませんでした(当時私は小学2年生でした)。
人間にとっても毒性があることが後に分かったものも含めて、50年以上様々な化学物質が撒かれ続けてきた2010年の日本。果たして人間だけが全く影響を受けずにいられるものでしょうか?

陸水研では、派手派手しく取り上げられず大方の市民が気にも留めない段階で、「みんなの」問題である化学物質問題に、できることから取り組んで行こうと思います。「みんなの」と囲った意図については、
http://nes.nenv.k.u-tokyo.ac.jp/profile/video_images/video_07.html  
を参照してください。