論文執筆に向けた日頃の習慣

学術論文発表における技術と技巧 《Mod. III Part 1》というWebpage、これから論文を書く博士課程進学予定のみなさんには、ヒントになることがいくつかあります。中でも下記は私自身もそう思っていることなので、特に引用しておきます。→で示した文章は、私のコメントです。

エキスパートと話をしましょう
文献調査では、専門分野の同僚やエキスパートたちもきわめて優れたリソースと言えます。次の方法で、意見交換する機会を持ちましょう。
•電話で話す
•電子メールで問い合わせる
•学会などで顔を合わせる
•自分のテーマに見合ったメーリングリストに登録する
予め下調べをしておきましょう。自分の連絡先や、扱っているテーマについて議論したいポイントを前もって把握しておくことも大事です1。連絡を取る時間帯についても相手に敬意を払い、相手の都合のよい時間帯に面談や質疑応答の機会を得るようにします。いきなり情報提供を求めるのは避けましょう。

→ 私の言う「一流の法則」も同じ趣旨です。

情報の記録と整理
どこかで目にした引用やアイデアを自分の論文に使いたいと思ったものの、その出典を書きとめておかなかった、という経験はありませんか? 探しなおすのはくやしいことですし、時間の無駄でもあります。研究や執筆と並行して、正確かつ詳細なメモを残しておくことが肝要です。
きちんとしたメモを取るために、次の条件を必ず満たしてください。
•調査でわかったことや主要なアイデアを正確に記録する
•「厳密な引用」と「パラフレーズ(言い換え)」とを区別する
•個々のアイデアについて、完全な出典情報(ページ番号も含む)を記録する
丁寧にメモを取る習慣を身につければ、剽窃や、研究結果を誤って伝えるなどの倫理違反を犯さずに済みます。

→ お配りしたラボノートにこまめに記録する習慣をつけてください。

執筆プロセス: 概要とヒント
研究が繰り返しの連続であるように、執筆もまた繰り返しで成り立っています。下書きを作成し、見直し、書きなおします。研究に立ち戻り、アイデアと論拠とのあいだのギャップを埋める必要が生じることもたびたびあるでしょう。執筆とは、自分の考えを文章化するだけでなく、考えに形を与える助けともなります。考えを言葉で明瞭に説明するという行為は、思考を研ぎ澄ませ、明確化してくれるのです。

→ 陸水ゼミでは往々にして、レジュメよりPPTの方が力が入っているようです。プレゼンも大切ですが、読んで分かってもらえる文章を書くこと、その内容が論理的であることは、研究活動の上でさらに重要です。M2の一部は既に経験しているように、「報告書の締めきり○○日後だから、この前のレジュメ大至急送って!」と指示を出すことがあります。みなさんの研究に要する費用は、大学からの運営費だけでは全く足りないので、様々な外部資金から援助いただいています。レジュメはその時点までの結果の報告書のつもりで取り組んでください。