恐るべし、浮葉植物

9日は陸水学実習初日でした。今年の陸水学実習は「手賀沼における浮葉植物群落が水環境に与える影響」に関する総合調査。陸からのアプローチと水からのアプローチで、どう見え方が違うかも把握してくださいね。

今日は陸からのアプローチだけで、抽水植物帯(マコモ群落)

と浮葉植物帯(ハス群落)

で、魚や底生動物の食性を比較すべく、動物採取を行いました。底生動物サンプルは1種類最低5個体はほしいと、担当のY君は希望していました。

上の写真の量の泥が1回分あれば、マコモ群落では底生動物のユスリカは10個体以上とれました。しかしハス群落では6回分とっても、得られたユスリカはたった3個体。酸欠に強いユスリカさえ住みにくい、恐ろしい環境ということです。Y君いわく、「いないものは仕方ないですね。。。」。
比較的酸素があるはずの水面を泳ぐ魚も、ハゼ類とモツゴの小さい個体が少しいただけで、タナゴやウナギまでいたマコモ群落とは全く様相が違っていました。

手賀沼のハス群落については、その環境に与える影響(よい面も悪い面も)が科学的に十分解明されているとは言えないとして、関係する協議会が調査を行い、水質・生物・観光地としての利用など、総合的な検討が行われました。その結果、これ以上拡大することの弊害や、今後の監視の重要性が指摘されています。
これに対し霞ヶ浦では、某NPOが浮葉植物であるアサザ霞ヶ浦湖岸全域に広げるとしています。環境の再生とはどういうことか、つくばで育つ子供たちがプロパガンダの受け入れではなく科学に基づいて考えられるように、そして子供たちの飲み水となる霞ヶ浦の水質がアサザ植栽によってこれ以上悪化しないように、この運動のペテンを完全に剥がして消滅させることが、水環境の研究者である母親としてやらなければならない仕事だと思っています。