常陸川水門の柔軟運用

アサザ基金のホームページを見ていたら、以前よりアサザ基金が提案をしてきた常陸川水門の柔軟運用が、土浦市議会で採択されたとの記載がありました。いったいどんな提案なのかと、同基金の「霞ヶ浦・北浦の自然再生によって見込まれる経済効果の試算〜アサザプロジェクトによる逆水門柔軟運用、植生帯復元事業を対象として〜」と題されたページを見てみました。
水門の運用によって高塩分水を霞ヶ浦に導入することにより、ウナギ、ワカサギ、シラウオ、スズキ、ハゼ、エビ、イサザアミ、ヤマトシジミの漁獲が昭和44〜48年平均レベルまで回復するとの前提で経済効果を見積もっています。
このうちワカサギ、シラウオ、エビは「湖岸植生帯復元事業」によって復活するとしていますが、少なくともその植生が「アサザ」であれば、復活するはずはありません。何度も書いているように、浮葉植物におおわれていては、底生動物は生きていけません。そうすると、逆水門柔軟運用が実現されるあかつきには、アサザを一掃してワカサギ、シラウオ、エビが喜ぶ植物を植えるのでしょうか。
シジミについては、「宍道湖のデータでは、宍道湖全体のシジミは、全湖水を3日間でろ過しているというデータがある他、吸収した窒素を体内に蓄え、シジミの漁獲として効率よく湖外に取り出す役割を果たしている。」これって、元をたどれば私の研究なんですけど。。。^^;
残念ながら、アサザが繁茂するような湖岸には、シジミは住むことはできません。塩分が薄すぎますし、またアサザによって消波されるところは、砂がたまるのではなく泥がたまります。シジミアサザが住めないような、流れがある程度あるところ、泥が流れで流出し砂が残るようなところに住みます。ということは、シジミのためにアサザ用の消波施設は一掃する?
結局、このホームページだけでは、具体的なイメージを得ることはできませんでした。どなたか、ここを見れば具体的なプランが分かる、というサイトがあれば教えて下さい。
ところで昭和48年と言えば宍道湖でもシジミ漁獲量が高かったときで、年間2万トンくらいでした。宍道湖は塩分が低下したわけではないのに、今はその半分くらいの漁獲です。アサザの有無を抜きにしても、塩分だけ過去と同じ濃度に戻せば過去と同じくらい魚介類がとれるとの前提は、楽観過ぎると感じました。もし提案通りに水門が運用されてもここに書かれた効果が得られなかった場合、もしくは塩害が起こった場合、誰がどういう責任をとるのか気になりました。