花や緑を育てる側の盲点

陸上植物の保全生態学を専門にしていながら、バラを育てるのが趣味という人がいるそうです。その方が農薬を全く使っていない可能性は非常に少ないと思います。
概して、保全生態を専門にする研究者や、自然再生を目指す市民団体の方々は、化学物質が人間に与える影響について、関心さえ持っていないことが多いと感じています。
特に農薬は、人間を対象にしているのではなく、人間以外の有害とされる動植物です。それが人間にまで影響するのですから、対象としていない同植物にも悪影響を与えているであろうことは、十分予測されます。そういうものに関心を持たない、そして平気で使ってしまう人々による保全生態とか自然再生って、物事の上っ面しか考えていない気がします。
2010年6月9日、化学物質過敏症の患者団体の方が、「予防原則に則り、化学物質汚染で苦しむことの無い国づくりを進めることが、物言えぬ胎児や全ての国民の生命と安全・暮らしを守ることにつながります。各省庁が、一丸となり横断的な対策がとられますよう重ねてお願い申し上げます。」と結んだ要望書を菅直人総理大臣に提出し、各省庁との交渉を行いました。そのうち農林水産省と交渉された方は、下記のように感想を書かれています。化学物資問題は、保全生態とか自然再生がよく出してくる「破壊を行う行政VS自然を守る・再生する市民」ではなく、市民そのものの姿勢であることをよく表しています。

#交渉内容が報告書としてまとめられています。PDFで送付できますので、関心のある方はメールください。

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私たちは今回、主に住宅地での農薬散布を問題として挙げた。ホームセンター等での安易な農薬販売の規制を求めた回答の中で、農水省は「農薬は病害虫を防除するために購入し、必要以上に撒いているとは思えない。いかに周囲の人に配慮して使うかが抜けているんだと思う」というもので、非常に落胆した。
その言葉は、「バラや植木、芝生の健康は、人の健康よりも優先される」と、私たちには聞こえる。私たちは、近隣住民やマンションの「バラや植木への病害虫への散布や、芝生への除草剤使用」で日々暴露し苦しみ、日常生活に甚大な支障をきたしているが、農水省には全然伝わっていないのでは?と、思った。
医薬品と、農薬には大きな違いがある。医薬品は病気を治すことによる利益を得る人と、副作用を受ける人が同一だが、農薬散布の場合は、利益を受ける人と、副作用を受ける人は同一ではない。農薬は開放して使用され、利益を受けない人に甚大な被害を与えるのだから、もっと規制されるべきだ。 いくら飛散しないよう配慮していただいても、とにかく農薬を散布されれば、わたしたち発症者はのたうちまわるほど苦しい。タバコの受動喫煙は、多くの人々に健康被害を起こす問題として認識されている。しかし、タバコの場合は、近隣で喫煙されても、2週間以上もそこに煙が残留することはない。農薬は、はっきりと2週間以上は残留し、散布2週間後でも心臓発作を起こさせる。