「今年はアメリカザリガニが絶対進入できないようにしたら、ガシャモクがうまく育っているので、是非見に来てください」
手賀沼のガシャモク再生を目指している会の方からビオトープ見学のお誘いを受けていたのですが、台風が重なって延期になり、今日のご訪問になりました。なるほど厳重に網がけされています。
ところが!
ヒメタニシらしき小さい巻き貝がそこら中についています。直接水草をかじるのかはともかく、これだけたかられたら弱っても不思議はない。
さらには、台風で増水したときに子持ちの親ザリガニが網の上を歩いて、稚ザリガニを落としていったのでしょう。小さなザリガニがたくさんいて、会の方もビックリ。
「やっぱり、食う食われるの関係をうまく導入しないといけませんね」
そこで、同行したN君の提案もあって、水の館にあるミニ手賀沼を見に行くことになりました。ここでは行政・市民団体・学識経験者などで構成されるグループが沈水植物を植えているのですが、毎年ザリガニの食害にあっていました。それで「ザリガニの捕食者をいれてはどうですか?」とご提案したところ、ナマズをいれて経過観察することになりました。
写真のように、今年は無事沈水植物が残っていて、提案者としては一安心です。でも手賀沼での水生植物の再生までには、まだまだ課題があります。沈水植物が繁茂していたとき、抽水植物との関係はどうだったのか。浮葉植物のハスをどう考えるか。底質、除草剤、透明度なども、もちろん重要です。そして今回は植栽したものが残っていただけなので、シードバンクから発芽させて、それが残るところまで実験して成功してからでないと、手賀沼の現場に提案する気にはなれません。一度壊したら戻らない環境、目的がよければ失敗してもよいわけではありません。
手賀沼では様々な団体が自然再生に取り組んでいますが、アサザを植えればやがては沈水植物も再生するなどといった安直なホラ話は、いまのところ目にしていません。真摯に再生を望んでいる関係者の方々と情報交換しながら、あるべき手賀沼への道筋を検討していきたいと思います。