先日、NHK総合テレビで「日野原重明 100歳 いのちのメッセージ」という番組を見ました。
私は脳脊髄液減少症を患い、直前に読んだ文章が全く記憶に残らないために、論文を読むことさえできなかった時期もありました。なので最も印象に残ったのは、認知症が進み夫のことも分からなくなりつつあった奥様でした。
日野原先生の朝食はとても変わっていて、コーヒー、ジュース、ミルク、 オリーブ油、果物、大豆イソフラボンでした。「オリーブオイルは脳梗塞を防ぐ」と話されていたように思います。日中は現職の医師として末期の患者を訪れ、その表情などから心身の状況を推察されています。このように日常生活や人間の観察ができる方ですから、奥様の健康についても医学の知見を踏まえて気遣っておられたはずで、かつ、それは食事などの日常生活もカバーしていたと思うのです。ちょっとおかしいと思ってからはなお、医師としてできる限りのことはされたことでしょう。なのに夫は現役医師として100歳を迎え、妻はかなり進行した認知症。
この事実は、認知症はどれほど気をつけても、生まれつきそういう要素があれば進行は避けられないことを示しているのではないかと思いました。医学の進歩に期待したいところですが、アルツハイマー型認知症治療薬としては12年ぶりの新薬「メマリー」も、進行抑制効果は期待されるものの、病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていないそうです。
どう死ぬかはどう生きるかの反映である一方で、本人の努力とは全く無関係だったりします。認知症になるのも、そういう類かもしれません。