昔の宍道湖にヨシ帯はなかった

「Reconstruction of submerged aquatic vegetation in Lake Shinji」とのタイトルで、ASLOで発表しました。K君が担当した米軍写真による1947年当時の宍道湖における水生植物の分布範囲の復元と、その種類を種子分析で推定した内容です。日本生態学会編「自然再生マニュアル」では宍道湖でのヨシ植生事業が「自然再生が成功した事例」と紹介されているのですが、本研究の結果では、宍道湖には1947年当時まとまったヨシ帯はなく、わずかに河口部にあるだけでした。また当時の透明度は4mくらいあって、これは富栄養化以前だったことに加え、石灰化を行うことで知られているChara coralinaが繁茂していて、植物プランクトンにまわるリンが乏しかった可能性があることを指摘しました。
英語が下手なので原稿を用意して読み上げたのがよかったのか、海外の参加者の方にも理解いただけたようで、セッション後に海外の方3人が質問に来られました。
明日は終日、SS32:High latitude and altitude aquatic ecosystems in a changing environmentのセッションチェアです。

(追伸)
京都新聞で私の発表が紹介されていました。