宍道湖岸の植物帯

陸水研K君は、1947年10月に米軍によって撮影された空中写真を解析し、宍道湖の湖岸には抽水植物はなかったことを発表しました。このことはヨシやセイタカヨシなどがなかったという意味ではなく、水際にはなかった、ということです。こういう感じの湖岸でした。

宍道湖では10年前くらいから、湖岸にヨシが植えられています。斐伊川が運ぶ砂が広がっていた西岸はほとんどヨシ原に造成され、今ではセイタカワダチソウや木が入り込んでいます。
下の写真は北岸の、10年前に造成された場所です。道路から見える部分は藪になっていて、湖岸が見通せなくなっています。この状態は、当初想定していたものではなかったと思われます。


問題だと思うのは水際です。一番上の写真と同日・同水位で撮影したものですが、なだらなかな砂浜がなく、水際まで植物に覆われています。沖合には消波施設があり泥場化が懸念されます。ヨシを植えるとシジミが増えると言われているようですが、この状態でシジミが増えるはずはありません。
当初からこの状態を目指していたとすれば事業に協力した方に説明が足りなかったと思いますし、そうでなかったのなら、なぜ目指していた状態と違ったのか検討し、原因が分かるまではこれ以上植栽しないのが順応的管理だと思います。