アサザ植栽、その根拠の怪しさ

霞ヶ浦アサザ調査に行ってきました。
下の写真はアサザ基金が現在でも植栽をしている霞ヶ浦西浦の一画です。ここではアサザが過去に生えていた記録がないそうです。アサザ基金は「系統保存した株しか植えていない」とホームページに書いているのですが、もともとアサザが無かったところに一体どういう株を植えているのか不明です(遺伝子解析用にサンプリングしたので、今年度末にはどの系統を植えているのか分かります)。沖合に木製の消波堤が見えます。

霞ヶ浦西浦の、別の一画です。アサザが自然に繁茂していました。8月の調査で見落としたのは、ここまで広がっていなかったからだと思います。わずか2ヶ月少々でのアサザのこの広がり方は、特に速いわけではありません。琵琶湖近くの水路では、毎月のように除去してもすぐに広がるそうです。また霞ヶ浦の他の場所でも自然にアサザが定着したところを見ていますが、みるみる、という感じで広がっていきます。アサザ基金はホームページに「アサザの株が広がるには長年かかる」と書いていますが、アサザの生息場所として適さないところに無理矢理植えているからではないでしょうか。

沖合には国土交通省が波浪対策として設置した消波堤が見えています。「石積み消波堤は水を通さないから環境を悪化する」とアサザ基金は主張していますが、アサザが一時的に繁茂するという観点からは、粗朶でも石積みでも変わらないことがよく分かります。しかも、ここでは自然にアサザが生えてきたのです。

今回の調査は、アサザに詳しい専門家お二人に同行いただきました。「霞ヶ浦本体にアサザを植えることがアサザ保全になるとは思えない」「植えるなら水路に植えて、植えっぱなしではなくて定期的にどぶさらいもして、水草がどういう環境で個体群を維持するのか学べるようにしてはどうか」という点で、お二人とも見解は共通していました。