宍道湖では塩分操作が不可欠

11月29日の山陰中央新報に「シジミ漁操業 2年5カ月ぶり週4日へ」との記事が掲載されました。「高めの塩分濃度が続いた結果、良質なエサとなる『けい藻』が増え、成長を促した。」と報じています。宍道湖でアオコが発生し、シジミ漁獲量が激減したのは塩分が原因。塩分さえ高くなれば事態は好転すると、私はかねてから主張していました。不漁の原因は上流にダムができて珪藻の養分であるケイ素が減った為と、事実無根の噂を流す研究者もいたようですが、陸水よりケイ素の濃度が薄い海水流入が増えることで珪藻が増えているのですから、ダム説は全く根拠がなかったことも同時に証明されました。塩分が8PSUくらいになれば水草被害も減ると予言していたのですが、これについてもその通りになりました。
今年塩分が高くなったのは偶然によるものであり、来年もまた都合のよい塩分になってくれるとは限りません。流入負荷により増殖する植物プランクトンシジミの形で湖内から除去するという、宍道湖ならではの水質浄化機能を安定して維持するためには、塩分操作は避けて通れない課題です。

追伸
環境についてはなかなか将来予測が難しいのですが、科学的に妥当な検討を行うことで可能になる場合もあることを、この例は示しています。一方で、文部科学省では環境教育において科学的な素養のないNPOなどの活用を促進するなど、絶対にやってはいけないことを進めています(10月26日付記事参照)。こんなことをしていては、日本の将来は決して明るくないでしょう。