陸水研では、私が陸水学雑誌に書いた吉村信吉先生の文献録紹介などを通じて、東大地理と陸水学との関係を折に触れて紹介してきました。
その際、私が過ごした理学部2号館の雰囲気の一部について、伝えていなかったことがあります。
それは、私が理学部地理の学生だった頃、駒場だけでなく、理学部2号館にも人文地理を専攻する学生だけでなく、教員もおられて、地理とはそういう総合学問だったということです。ここまで学問の細分化が進んだ現在、もう、その雰囲気は伝えきれないと思っています。
理学部2号館におられた人文地理の教員は、小堀巌先生でした。
当時、文科三類出身の私のコネクションのどなたかから(アジ研のどなたかだったかな)、「日本の通常の外交官よりも世界に人脈がある」と言われたことがあります。そして理学部進学時には、UNEPなど国際機関への就職も考えていたので、小堀先生とは何度も直接いろいろ教えていただきました。しょっちゅう、「ワッハッハ!」という感じの豪快な笑い方をされていたのが印象的でした。
本日、日本の土木と生態学の融合を目指した研究会の懇親会で、土木関係の方から本当に30年ぶり以上に、「東大地理なら、知り合いがいます」と小堀先生のお名前を聞きました。その方からも、乾燥地域の水循環の第一人者といわれました。