熊谷道夫・浜端悦治・奥田昇著「琵琶湖は呼吸する」

以下は出版社による案内です。また売り上げはモンゴルで重度の火傷を負った少年の手術代に寄付されるそうです。
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日本で最大の湖・琵琶湖は日本列島がまだ大陸とつながっていた頃から存在し、実は日本最古の湖です。
京阪神地区の貴重な水がめであり、景勝地の多いことで知られる琵琶湖ですが、湖の大きな水の流れについてはあまり知られていません。湖に注ぐ川からの冷たい雪解け水が湖底に向かって流れ、対流を作ります。
これによって上・下の水が循環し、一緒に酸素も運ばれます。これが琵琶湖に棲む生き物たちの命の水。この現象を科学者たちは「呼吸する」と呼んだのです。水の流れは上下のみならず、大きな渦を巻くように水平にも流れますが、これは地球の自転によるもの。「琵琶湖の渦は世界一美しい」と知る人は言います。
その琵琶湖が、この半世紀の間、環境の激変にさらされていることを琵琶湖をよく知る科学者たちが、地球物理学、環境科学、生態学などの立場から報告します。最近でこそ、ようやく認識されだした地球温暖化と異常気象の行方、それが琵琶湖では「水温の上昇」として今から22 年前より警告されています。湖底ではベントと呼ばれる水煙が噴出する様子が報告されたのが6年前、それが徐々に増えています。同じく湖底では、数十万年前からの琵琶湖の固有種、アナンデールヨコエビとビワオオウズムシが大量発生している様子が、湖底探査ロボット「淡探」による写真で確認されています。日本列島における火山の活発化とどのような関わりがあるかは不明です。
地球環境問題という大きなテーマの真実が局所で垣間見られる、そういった醍醐味が味わえる著作です。

琵琶湖は呼吸する

琵琶湖は呼吸する