正念場にある東大

8月2日付記事で、東大医学部教授達の論文不正疑惑が不問に付されたことについて、疑念を表明しました。私がこの問題に強い関心を持っているのは、昨年10月14日付記事「崩れゆく東大」で書いたように、このままでは母校東大が世界でやっていけなくなると危惧しているからです。
今回の医学部教授お咎め無しの対処は、私以外にも、東大を母校とする研究者で危機感を感じている方は多いと思います。実際、東大医学部出身者の方が、この問題について警鐘を鳴らした文書を見つけました。
http://medg.jp/mt/?p=7776
下記はその一部です。私が所属する自然環境学専攻については、世界どころか日本でも一線でも何でも無いところなので、学生にハラスメントを行った上にヒ素・水銀の廃液を流しに捨てる教員をおとがめなしにすることも(他の大学では当然ながら厳重に処分しますが)、この専攻の教授達なら仕方ないところですし、これにより日本の学問の信用が云々ということは全くありません。しかし今回の医学部教授は、日本のトップと目されている方達なのです。不正を覆い隠すことはかえって傷を広げることにつながることを、当局には気づいてもらいたいと思います。

(以下、http://medg.jp/mt/?p=7776からのコピペ)
今回の件は、すでに外国のメディアでも報道されている。
Nature誌はニュース(http://www.nature.com/doifinder/10.1038/nature.2017.22394)のなかで、マサチューセッツ工科大学の細胞生物学者、アンジェリカ・アモン氏の言葉を取り上げる。
「ここには灰色の領域はありません。データ操作は科学的な不正行為です(There is no grey area here. Data manipulation is scientific misconduct.)」
甘い研究不正認定、そしてたとえ研究不正ではなかったとしても、繰り返される有害研究…東大が世界のリーディング大学を名乗るなんてお笑い種だ、と言われかねない。
東大が、いや日本の研究が世界からの、社会からの信頼を取り戻すために、東大がこれから何をするのか、世界が注視している。今東大は、日本の研究は正念場にあると言えるだろう。