自然保護協会も変でした

ウナギやワカサギの餌生物がネオニコチノイドによって減少したために資源が減ったとした私達の論文、昨日(11月17日)の日本経済新聞で紹介され、ビジネス関係の知人からも「見たよ~!」との連絡が入るようになりました。
面白かったのは、その記事の左にあった「里山の昆虫急減 チョウ類は深刻 自然保護協会まとめ」との記事。「欧米では昆虫の急減が注目を集めており、日本も同様の傾向にあることが示された。」とあります。
その欧米の記事を紹介したニュースとして、例えばBBCは下記のように報道しています。

この記事では、減少原因の2番目に殺虫剤を挙げています。元の論文(Biological Conservation, 232, 8-27)でもそうで、要旨に下記が書かれています。
The main drivers of species declines appear to be in order of importance i) habitat loss and conversion to intensive agriculture and urbanisation; ii) pollution, mainly that by synthetic pesticides and fertilisers; iii) biological factors, including pathogens and introduced species; iv) climate change.
Synthetic pesticidesとはネオニコチノイド系殺虫剤のことです。このように海外では「減少原因の2番目が農業での化学物質使用」としているのに、この日経記事で自然保護協会は「人の手が加わらずに管理放棄されたことや、開発による分断で里山の環境が変わったことが主な原因だろう。」としていました。
マツクイムシ対策として、里山にもネオニコチノイドが空中散布されていることは周知の事実です。実際、つくばの里山を夏にトレランしたとき、虫がほとんどいなくて、夏なのに寒気がしてきました。
念のため、日本自然保護協会の見解を直接ホームページで確認しましたが、日経に書かれていた通りでした。農薬については全くコメントしていません。

日本の生態学関係者は、農薬メーカーの御用学者かのように、農薬や除草剤の影響を否定しています(たとえば2019年8月6日記事で紹介した、生態学者の文章を読むと、よくこんな論理的にもおかしな文章を平気で書くよと思います)。今回、自然保護協会まで同様の姿勢を示していて、日本の自然は滅びるしかないなと思いました。偏見なく観察すれば、農薬の影響がとても大きいとわかりそうなものですが、自然科学面の素養に問題があるのでしょうか。。