定年後のいきがい

私は仕事で頻繁に、熱帯の海でダイビングしていました。「いいですねぇ、そういう仕事。」とか言われますが、夜中に注射器片手に海底すれすれの水を採水に行ったり、ちょっと離れた所にはマンタスポットがあるのに一度も行けずに海草の林の中だけで採集してたりとか、潜水の仕事はレジャーとは一線を画してました。
これに対して最近、研究の関心から始めた自宅での動物飼育は、ほぼ趣味化しています。
ネオニコチノイドが害虫以外の昆虫にどのような影響を与えるのか、観察しやすいのはニホンミツバチだろうと思って昨年春に飼育入門講座に通い、今年春から自宅で飼育しています。庭に出る度に様子を見ていて、飽きることがありません。今日あたりから暑い日が続きそうなので、ダニ対策に庭に生えていたミントを屋根に置き、水飲み場も設置しました。蜂が溺れないで水を飲むにはどうしたらいいか考えて,果物を保護するクッション材を筏にしてみました。こういった工夫をする時間もすごく楽しいです。

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先週頂いたテナガエビ、今日は水草の上でくつろいでました。自然界で日中こんなことしてたら捕食者に狙われます。とうとう弱ったのかな?と指で触れたら、一瞬で水底に消えました。あの元気さならまだまだ大丈夫。ただし煮干しも食べず、肉食魚用のペレットも手をつけておらず、丸5日は何も食べてないように見えます。今日はイカを干しただけのシンプルなアタリメをいれてみました。これも手をつけずにサバイバルしていたら、自然発生しているタニシを食べているのかもしれません。そういえば今朝くつろいでいた水草の葉の上にも1mmほどのタニシの子がついていたので、もしかしたらそれを狙っていたのかも。

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父親がとても動物好きで、うちでは子供の頃から何かしら動物を飼っていました。父親は何でも上手に飼うので、小鳥にハマっていた頃は常時100羽くらいいて、増えた幼鳥を売ることで餌代が賄えただけでなく、ちょっとしたお小遣い稼ぎにもなっていました。大学入学で上京して以来しばらく何も飼育しない年月でしたが、父と同居したら子供達(=父にとっての孫)が金魚すくいで連れてきた金魚を父が面倒を見て、さすがの腕前で14年の天寿を全うさせました。最後の金魚が亡くなって水槽は物置に片付けていたのですが、今回、テナガエビのネオニコ耐性実験を自宅で進めることにして台所に並べたら、家の中が一気にパラダイス化したような気がしました。どうも私は庭仕事だけでなく、動物を飼うのも合っているようです。
5年後に迫った定年後の生きがいが、ひとつ確定しました。

(追伸)

ネオニコチノイド系殺虫剤が水界生態系にどのような悪影響を及ぼすのか、一般向けに解説した連載がスタートしました。下記はその案内です。

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